おはようございます。目黒区の司法書士の増田朝子です。

 

先日、あるお客様から、他の司法書士に依頼して相続登記をしたけれども、

その後、登記済権利証(登記識別情報)をもらっておらず、勝手に不動産を処分されたりしていないだろうかとのご相談がありました。

 

相続した物件は、他の相続人との共有不動産で、相続登記後は売却予定でした。

売却の手続きや司法書士の手配は、他の相続人が主導して進めているとのことです。

 

登記済権利証は、かつて登記の申請書に登記済の法務局印を押されたものが交付されていましたが、

平成17年、上記の制度から、不動産の登記名義人に12桁の暗号のような登記識別情報が通知されるという現在の登記識別情報制度に切り替わりました。

 

この制度の一番のメリットは、共有の不動産について、個々の不動産や共有者毎に登記識別情報が発行されることです。

以前の登記済証は1冊で全ての不動産や共有者の権利を含んでいましたので、対象の不動産や当事者に変更があった場合、管理がとても大変でした。

よって、現在の登記識別情報の制度では、ご相談者にもご自身の登記識別情報が発行されているはずです。

 

登記に先立ち、担当司法書士から意思確認等の電話はあったとのことです。

しかし、その際に登記後の手続きについての説明はなく、またその後何も連絡がなくて、不安になったとのことでした。

 

売買を前提とした相続の場合、不動産が共有であってもすぐに売却してしまうため、上記のように相続人毎に発行された登記識別情報を

一つにまとめて代表の相続人が持っていることがあります。売却の登記の際に、共有者の誰かがなくしてしまったり、お忘れになったり

することを避けるためです。当事者からご依頼されて、売却を担当する司法書士が売買当日まで預かる場合もあるでしょう。

 

しかし、登記識別情報は登記名義人のものですから、その方に直接お渡するのが大前提です。

今回の場合、司法書士を手配した他の相続人がその司法書士に登記完了後の登記識別情報の送付先を伝えていたかもしれませんが、

そのことは、ご相続人間では意思疎通ができていないないようでした。

 

今回、お客様には直接司法書士に登記識別情報の送付についてご確認をするようお伝えしました。

 

このような場合、司法書士としては、ご相続人間の話し合いの不足を補い取引の不安をなくすためにも、

ご相続人ごとに登記完了後の登記識別情報のご返却先についてのご説明と意思確認をしなければならないと、改めて思いました。

 

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