おはようございます。目黒区の司法書士の増田朝子です。

高温多湿が続いて、本当に梅雨が明けたのかという日が続いていますね。

 

相続法を大幅に見直す改正民法が6日に衆議院本会議で可決、成立しました。

 

この改正では、自筆証書遺言の作成要件が一部変更されれます(新民法968条2項)。

現在の民法では、自筆証書遺言は「全文を自書する」ことが成立要件とされます(民法968条)。

遺言者(遺言を作成する人)が、相続人の一人に全部の遺産を相続させるような単純な遺言書の場合はともかく、相続人が複数いるような場合で財産も沢山ある・・自筆証書遺言では遺言者の意思を法律上問題なく表現するにはかなり遺言者の負担があります。

相続人Aには遺産のうちこの不動産及びこの銀行の預金等を、Bには・・・Cには・・・などと記載していき、誤って書いてしまった場合には遺言の訂正による方式によって厳格に訂正しなければならないなどと考えると、費用がかかっても間違いがないだろう公正証書の遺言での作成をお勧めしていました。

 

自筆証書遺言に基づく相続登記のご依頼を頂いて、正直見た瞬間「これで登記ができるのだろうか・・・。」という不安に思うぐらい、不動産の表示等の記載についての誤りが目立つときがあります。

遺言に基づく登記については、「遺言の解釈にあたっては、文言を形式的に判断するだけでなく、遺言者の真意を探求し当該条項の趣旨を確定すべき」(最判昭58.3.18)、や、「遺言の解釈にあたっては、可能な限りこれを有効となるように解釈すること」さらには「遺言書の文言を前提としながらも、遺言者が遺言書作成に至った経緯及びその置かれた状況等を考慮することは許されるものというべきである」(最判平5.1.19)などがあって、誤記など明白な誤りなどについては登記の許容範囲は意外と広いと思われますが、念のため法務局に事前に照会も必要になり、また登記がきちんと終わるまでは安心できません。

 

今回の民法改正では、自筆証書遺言作成時に、財産の一覧を示す「財産目録」はパソコンでの作成が可能になります。

これにより、自筆証書遺言の書き間違い等の問題は大分解消されて、活用も増えていくのではないでしょうか。

 

この自筆証書遺言の緩和については、7月6日の改正民法成立後、後議院の議長から内閣を経由して奏上された日から30日以内に公布された後、公布の日から6か月を経過した日から施行される予定です。

来年中には新制度が利用できることになります。

 

改正された自筆証書遺言のサンプル(法制度審議会民法部会第25回会議HP掲載添付資料)。

http://www.moj.go.jp/content/001244449.pdf

 

なお、法務局で自筆証書遺言を保管することが可能となる「法務局における遺言書の保管等に関する法律」も同時に成立しました。

法務局に自筆証書遺言を預けることで自筆証書遺言についての家庭裁判所の検認が不要になります。

こちらは、公布の日から2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。

 

「法務局における遺言書の保管等に関する法律」

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00241.html

 

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