おはようございます。目黒区の司法書士の増田朝子です。

 

債権法の改正について、昨日の続きです。

今日は、②賃貸契約と③委任約で重要な改正だと思う部分を簡単に記載しておきます。

 

②賃貸借契約

・賃貸借の上限期間が20年から【50年】になりました(改正民法604条)。※借地借家法には影響はないです。

・賃貸不動産を譲渡した場合、賃貸人の地位が譲受人に移転することが明記された。また、譲渡人と譲受人の2者の合意により【賃貸人たる地位の留保】が認められることとなりました((改正民法605条)。

合意による賃貸人たる地位の留保については、【賃借人の同意が不要】になりました。不動産の信託の場合の必要性が考慮されたもののようです。

・賃貸借に期間を定めたときは、目的物の返還がなくても、当該【期間の満了】により賃貸借が終了することとなりました(改正民法622条、準用597条)。

また、賃借物の全部が滅失等して使用収益できなくなった場合は、賃貸借が終了する旨が規定されました(改正民法616条の2)。

・賃貸借終了の【賃借人の原状回復義務】が規定されました(ただし、「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗」および「賃借物の経年劣化」を除く。改正民法621条)。

・賃借人が附属させたもの(造作)の収去権だけでなく、原則として賃借人が【造作の収去義務】を負う旨が規定されています(改正民法622条、準用599条)

・【敷金】について明文の定めができて、賃貸人の地位の移転とともに必要費や有益費などの費用償還債務および敷金返還債務が譲受人に移転することが明記されました。

なお、敷金の債務充当は、賃貸人からのみ認められることも明記されました(改正民法622条の2))。

 

③委任契約

・復受任者を選任することができる要件等が規定されました(改正民法644の2)。

復代理(民法104)と同じですが、今までは代理の類推適用だったものが、別途委任の条文に明記されました。

・委任の中途終了時の報酬の請求については、委任契約の内容によって、(1)履行割合により請求できる場合と、または(2)成果が完成した後に請求する場合に分けられることになりました(改正民法648、648の2)。

・委任者が契約を解除できる場合が拡大しました(改正民法651条)

受任者の利益を目的とする委任であっても、委任者は契約を解除できることとなり、この場合、やむを得ない事由がある場合を除き、相手方に損害を賠償する必要があります。

 

等々…

賃貸借契約については、これまでの判例の解釈が導入されて曖昧な部分がだいぶなくなった印象です。

 

④金銭消費貸借契約と⑤保証契約についてはまた後日アップします。

 

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