おはようございます。目黒区の司法書士の増田朝子です。

 

ご依頼いただいている案件の中には、相手方との調整が必要な件もあります。

まだ、当事者で紛争はないと思っていても、

紛争になったらどうすればいいかの適切なアドバイスをするためには、

裁判業務の知識が圧倒的に足りないのがずっと気になっていました。

 

もちろん、争いが顕在化したら弁護士にお任せするのが筋ですが、

それでも、ご依頼者の伴走者として、弁護士との間の橋渡しができるようになりたいと思います。

 

そんなわけで裁判系の研修に出たり、裁判業務の本を読みあさっています。

本と言っても専門書ばかりではなく、弁護士等が一般人向けに書いた本なども読んでみたり。

色々気になるものを取り寄せて読んだ中に、下記の本がありました。

 

『臆病者のための裁判入門』(著者 橘玲)

 

私は作者の橘玲さんのファンですが、橘さんが裁判関係の本を書かれていたのは意外でした。

橘玲さんの著書といったら、『マネーロンダリング』『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』等、沢山のベストセラーがありますが、

この本はそういった経済系の本とはちょっとテイストが違います。

 

この本では、まず第一章で、橘さんがオーストラリア人の友人とともに、

その友人が巻き込まれた交通事故の賠償金(12万円)の損害賠償を求めて、ある損保会社訴えて最終的に和解するまでのドキュメントが綴られています。

 

トラブルが発覚後の損保会社との和解交渉、そんぽADRセンター、弁護士会や法テラスでの相談、民事調停の利用、

東京簡裁に提訴するものの東京地裁間での移送と再移送、結局東京地裁で審理されるが敗訴し、

東京高裁に控訴して和解を得る、と盛りだくさんです。

 

驚きですが、橘さんとご友人は東京地裁までは全て本人訴訟で戦われています。

訴額(14万円)の低さや事件の難しさ(この辺りの説明は是非本をお読みください)もあり、

収入の少ないご友人は法テラスを利用しても弁護士が引き受け手がいなかったのが理由です。

ただ、結局控訴した東京高裁では橘さんの知り合いの弁護士を代理人とせざる得なくなっており、本人訴訟を貫く難しさも描かれています。

 

第2章では、日本の本人訴訟の特徴や、簡易裁判所の裁判を中心とした裁判制度等について解説されていました。

 

さすが橘さんの本だけあって、全体を通じて小説のようにぐいぐい引き込まれて読めました!

 

この本は実務的な本ではありませんが、

本人訴訟からみた裁判制度や裁判所の内情、不合理さも分かってとても興味深い本でした。

 

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