おはようございます。
目黒区目黒本町(学芸大学駅エリア)の女性司法書士・行政書士、増田朝子です。
相続・遺言・終活サポートを中心に、地域の皆さまの安心のための法務サービスを行っています。
未成年者が取締役・代表取締役になるとき
先日、未成年者を取締役・代表取締役にする場合の手続について確認する機会がありました。
現在は祖父が代表取締役を務めており、今後、未成年者本人を取締役・代表取締役にしたいというケースです。
本人は以前から会社に関わっており、15歳になったことを機に、自ら代表取締役になりたいというお話でした。
未成年者でも取締役や代表取締役になることはできるのでしょうか。
また、親権者の同意はどの場面で必要になるのでしょうか。
今回は、未成年者が会社役員になる場合の登記手続と、その後の業務執行について整理してみます。
■未成年者が取締役になるときは親権者の同意が必要
会社法上、未成年者であること自体は、取締役の欠格事由とはされていません。
そのため、15歳の未成年者であっても、必要な意思能力があり、所定の手続を経れば、取締役に就任することは可能です。
ただし、18歳未満は民法上の未成年者です。
取締役と会社との関係は委任に関する規定に従うため、未成年者が取締役への就任を承諾するときは、原則として親権者など法定代理人の同意が必要になります。
■未成年者が取締役に就任するときの必要書類
取締役会を設置していない株式会社で、未成年者が新たに取締役に就任する場合には、一般的に、次の書類を準備します。
① 未成年者本人の就任承諾書
② 未成年者本人の印鑑証明書
③ 親権者の同意書
④ 親権関係を確認する戸籍謄本等
⑤ 親権者の印鑑証明書
父母双方が親権者である場合には、原則として双方の同意を得ておく必要があります。
取締役会を設置していない会社では、新たに就任する取締役の就任承諾書に本人の実印を押印し、その印鑑について市区町村長が作成した印鑑証明書を添付します。
なお、会社の機関設計や現在の役員構成などによって必要書類は変わりますので、実際の登記手続では定款や登記事項証明書を確認して判断します。
■代表取締役になる場合も親権者の同意が必要?
ここは少し注意が必要です。
取締役会を設置していない株式会社では、原則として各取締役が会社を代表します。
一方で、定款や株主総会の決議、定款の定めに基づく取締役の互選などによって、取締役の中から特定の代表取締役を定めることもできます。
この代表取締役の選定方法によっては、取締役への就任とは別に、代表取締役への就任承諾が必要となる場合があります。
たとえば、定款の定めに基づいて取締役の互選により代表取締役を選定する場合には、取締役と代表取締役の地位を分けて考え、代表取締役としての就任承諾が必要とされています。
そのため、未成年者を代表取締役に選定する場合には、代表取締役への就任についても親権者の同意を得ておく必要があるケースがあります。
すでに未成年者が取締役になっている場合でも、「以前に親権者の同意を得ているから、それだけでよい」とは限りません。
まずは、現在の定款で代表取締役をどのように定めることになっているのかを確認することが大切です。
■未成年者本人が株主の場合は?
未成年者が取締役になるケースでは、本人自身がその会社の株主であることもあります。
未成年者であっても株主になることはできます。
ただし、未成年者本人が株主総会で議決権を行使する場合には、民法上の未成年者の法律行為として、原則として親権者の同意を得て行う必要があります。
また、親権者が法定代理人として、未成年者に代わって議決権を行使する方法も考えられます。
この部分は通常、登記簿には表れません。
しかし、役員変更や定款変更の前提となる株主総会決議が有効に成立しているかという問題ですので、登記手続を行う司法書士としても確認しておきたいところです。
■取締役になった後も、仕事のたびに親権者の同意が必要?
それでは、未成年者が取締役に就任した後も、会社の仕事をするたびに親権者の同意が必要になるのでしょうか。
この点について、『商業登記ハンドブック』では、未成年者の取締役就任について法定代理人が同意した場合、その同意を民法6条の「営業の許可」にあたるものとみて、その後、取締役として行う個々の行為については法定代理人の同意を要しない、という考え方が紹介されています。
この考え方によれば、適法に取締役に就任した後は、会社の業務を行うたびに、その都度親権者の同意を得る必要はありません。
代表取締役についても、必要な手続を経て適法に就任したのであれば、会社を代表して契約などを行うたびに親権者の同意を得る、ということには通常なりません。
未成年者だから親権者が代わりに会社を経営するということではなく、本人自身が取締役・代表取締役として業務を行うことになります。
もっとも、これは法律上の考え方です。
銀行口座、融資、クレジットカード、決済サービス、賃貸借契約その他の取引について、金融機関や取引先が独自に未成年の代表者に関する取扱いを設けている場合があります。
法律上、代表取締役になれることと、実際の会社運営ですべての取引が問題なくできることとは、分けて考えておいた方がよいでしょう。
■15歳になれば実印登録もできる?―目黒区の場合
取締役会を設置していない会社で未成年者が新たに取締役に就任する場合には、本人の印鑑証明書が必要になります。
では、15歳でも実印を登録できるのでしょうか。
目黒区では、目黒区に住民登録がある15歳以上の方が印鑑登録をすることができます。
本人が申請する場合には、登録する印鑑と本人確認書類を持参して窓口で手続をします。
目黒区では、本人確認の方法によって、
・本人確認書類を提出して照会書の郵送を受け、後日回答書を持参する方法
・所定の顔写真付き本人確認書類などにより本人確認を行う方法
などがあります。
15歳以上18歳未満であることだけを理由として、取締役就任の場合のような「親権者の同意書」が必要になるわけではありません。
ただし、本人確認の方法や必要書類は変更されることもありますので、実際に登録するときは、あらかじめ住所地の市区町村に確認しておくと安心です。
■未成年者の役員変更では、まず定款を確認
未成年者であっても、必要な条件を満たせば取締役・代表取締役になることは可能です。
ただ、成年者の役員変更とまったく同じように考えることはできません。
特に確認したいのは、
・本人は現在すでに取締役なのか、新たに取締役になるのか
・取締役会を設置している会社か
・定款上、代表取締役をどのように選定することになっているか
・本人は会社の株主でもあるのか
・親権者は誰か
といった点です。
本人の取締役としての就任、代表取締役への選定、株主としての議決権行使を、それぞれ分けて考えると整理しやすくなります。
■ご相談について
増田リーガルオフィスでは、会社設立、役員変更、代表取締役変更、事業目的の変更など、株式会社の商業登記に関するご相談を承っています。
会社の機関設計や定款の内容によって必要な手続は異なりますので、現在の登記事項証明書や定款を確認したうえでご案内いたします。
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司法書士・行政書士 増田 朝子(ますだ ともこ)
司法書士・行政書士 増田リーガルオフィス
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プロフィール
相続・登記・遺言・空き家対策
家族の法務支援に注力
幅広い経験に基づくコンサルティング
目黒区在住
東京司法書士会所属・登録番号 7656号
簡裁訴訟代理認定 第501506号
東京都行政書士会所属・登録番号 18082496号
東京家庭裁判所家事調停委員(令和2年より)
相続・不動産コンサルティング会社 代表取締役








