おはようございます。目黒区目黒本町(学芸大学)の女性司法書士・行政書士の増田朝子です。

 

先日、古い根抵当権の抹消登記申請を行いました。登記原因は、「不動産登記法第70条の2の規定による抹消」です。

登記申請人は個人、登記義務者は担保権者は解散・清算結了登記をした株式会社でした。

 

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ご依頼人は、もともと根抵当権の抹消登記を自力で抹消登記を申請するご予定でした。設定後30年以上経っていた根抵当権です。

古い根抵当権だったので、法務局に予約して相談したところ、普通の抹消登記はできない、司法書士に相談してくださいと言われたとのことでした。

 

ご依頼人は、登記義務者から交付された「抹消書類一式」をお持ちでした。

実は、今回、抹消書類一式があったと思っても、簡単に登記が申請ができそうにない理由が二つありました。

 

1.登記原因証明情報(解除証書)がないこと

抹消書類一式の中に、解除証書が入っておりませんでした。

解除があった事実は、委任状に記載があるのではっきりしていましたが、解除されたの時期は、不動産登記法で登記原因証明情報の制度が施行される前でしたので、解除証書の作成は省略されてしまったのかもしれません。

 

2.登記義務者が、登記義務者は解散・清算結了しており、会社登記簿は閉鎖されていたこと。

通常、法人が解散・清算結了している場合は、代表者は清算人ということになります。ただし、今回当時の代表取締役が会社実印で押印した登記委任状がありました。

 

いくつか疑問点をまとめて、法務局に照会をかけたのち、今回のケースでは令和5年改正の休眠担保権の単独抹消の規定で抹消登記を申請することにしました。

 

【令和5年4月1日施行の不動産登記法の改正による、解散した法人の担保権の抹消登記簡略化】

令和5年4月1日施行の不動産登記法の改正により、担保権者が解散した法人である場合における登記抹消手続きが簡略化されました。

 

根抵当権の抹消登記の登記原因は、「不動産登記法第70条の2の規定による根抵当権の抹消」

原因日付はありません。

 

この特例を使って、登記を単独申請する場合、登記原因証明情報は、以下の3つとのこと。

1.被担保債権の弁済期を証する情報

金銭消費貸借契約証書、弁済猶予証書、債権の弁済期の記載がある不動産の閉鎖登記簿謄本等

2.共同して登記の抹消の申請をすべき法人の解散の日を証する情報

共同して登記の抹消の申請をすべき法人の登記事項証明書等

3.改正不登法第70条第2項に規定する方法により調査を行ってもなお共同して登記の抹消の申請をすべき法人の清算人の所在が判明しないことを証する情報

調査報告書(共同して登記の抹消の申請をすべき法人及びその清算人の調査の過程で収集した書類並びにこれらの者の所在調査に係る郵便記録等を添付したもの)

※詳しくは以下参照

※通達『民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(令和5年4月1日施行関係)(令和5年3月28日付け法務省民二第538号通達)』参照。

 

登記申請の際には、登記原因証明情報として調査報告書を作成し、ほかに会社閉鎖謄本、その他ご依頼人が所持されていた書類をあるだけ添付しました。

 

なお、調査報告書には上記の1~3についての調べた内容や事情を詳しく記載して、司法書士名で作成しました。

このほか念のため、上記調査報告書の内容のとおりで間違いない旨の登記申請人名の上申書(印鑑証明書付き)を添付しました。

 

ところで、今回のケースでは、清算人の戸籍調査は行いませんでした。

当時の会社の実印付き委任状が残っていたので、清算人個人の戸籍を取得する意味はないと思っためです。

これが通例だとは思いませんが、今回は、そのような形で、登記申請は無事受理されたのでした。

 

いろいろ調べたりしたのでご依頼から登記申請にこぎつけるまで3か月程度かかりました。

抹消登記申請後はスムーズに登記は完了し、ご依頼人には大変喜んでもらえました。

 

また何か相談があったら先生にお願いします、とうれしいお言葉をいただきました!

 

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