おはようございます。
目黒区目黒本町(学芸大学駅エリア)の女性司法書士・行政書士、増田朝子です。相続・遺言・終活サポートを中心に、地域の皆さまの安心のための法務サービスを行っています。

■突然の入院で預金が動かせないときに|ゆうちょ銀行の「払戻(払渡)依頼」のお話

先日、相続のご相談にいらしたお客様から、印象に残るお話をうかがいました。

ご家族の中に、突然ご病気になり、ご本人が銀行の窓口に行くことも、委任状に署名・押印することも難しくなってしまった方がいらしたそうです。

その際、病院代などを親族がいったん立て替え、ゆうちょ銀行の「払戻(払渡)依頼」の手続を利用して、本人の口座から精算していたとのことでした。


■本人が動けなくなると、預金も動かせなくなることがあります

高齢の方やご病気の方の場合、突然の入院や体調の変化により、ご本人が銀行の窓口に行けなくなることがあります。

また、状態によっては、委任状に自署・押印することも難しい場合があります。

そうなると、本人名義の預金があっても、病院代や介護施設の費用などをすぐに支払えないことがあります。

ご家族が立て替えることはできても、金額が大きくなったり、期間が長くなったりすると、立て替える側の負担も重くなります。

■ゆうちょ銀行の「払戻(払渡)依頼」という手続

今回お客様が利用されていたのは、ゆうちょ銀行の「払戻(払渡)依頼」という手続でした。

ゆうちょ銀行の案内では、名義人本人が来店できず、委任状に自署・押印することもできない場合に、一定の書類を提出して、払戻しを請求する手続が案内されています。

必要書類としては、請求人の印章、本人確認書類、名義人と請求人との関係を確認できる書類、病院や介護施設などからの請求書などが挙げられていました。

つまり、単に「家族だから自由に引き出せる」というものではなく、本人の状況や使い道を確認したうえで、必要な範囲で払戻しに応じる仕組みのようです。

■通帳の備考欄に、手書きの記録が残っていました

今回、私が特に印象的だったのは、お客様がお持ちになったゆうちょ銀行の通帳です。

通常の機械印字とは別に、備考欄のような部分に、手書きで払戻しの記録が記載されていました。

お話をうかがうと、この手続を利用した後は、キャッシュカードなどで自由に引き出すのではなく、病院代や施設費など、必要な支払いの都度、窓口で確認を受けながら払戻しを受けていたとのことでした。

ゆうちょ銀行の案内にも、この取扱いによりキャッシュサービスの利用を廃止し、以後の取扱いは窓口のみになる旨が記載されています。

一見すると少し不便にも思えますが、本人の預金を守るためには、とても大切な仕組みだと感じました。

通帳に記録が残り、請求書や領収書とあわせて説明できる状態になっていれば、後から見ても、本人のために必要なお金が使われたことが分かりやすくなります。

■相続の場面でも、立替金の記録は大切です

相続のご相談では、亡くなる前の入院費、施設費、生活費などを、特定のご親族が立て替えていることがあります。

このような立替金は、相続手続の中で整理が必要になることがあります。

領収書や請求書、通帳の記録が残っていれば、他の相続人にも説明しやすくなります。

反対に、記録があいまいなまま現金の出し入れが続いていると、後から、

「本当に本人のために使ったのか」
「いくら引き出したのか」
「何に使ったのか」

という疑問が生じることもあります。

今回のように、金融機関の手続を通じて必要な支払いが行われ、通帳にも記録が残っていることは、立替金の精算や相続人への説明という意味でも、とても大切だと感じました。

■成年後見制度が必要になる場合もあります

もっとも、このような払戻しの手続があれば、すべての財産管理ができるというわけではありません。

継続的に預金を管理する必要がある場合、不動産の売却や契約行為が必要な場合などは、成年後見制度の利用を検討する場面もあります。

一方で、急な入院費や施設費など、目前の支払いに対応するために、金融機関が一定の範囲で実務的な対応をしているケースもあります。

本人の状態、ご家族の関係、必要な手続によって、適した方法は変わります。


■まとめ

突然の病気や入院によって、ご本人が預金を動かせなくなることは、決して珍しいことではありません。

そのようなとき、病院代や施設費をどのように支払うか、親族が立て替えたお金をどう精算するかは、とても現実的な問題です。

今回のゆうちょ銀行の払戻し手続は、本人の預金を守りながら、必要な支払いに対応する実務的な仕組みとして、とても印象に残りました。

相続手続では、亡くなる前のお金の動きが問題になることもあります。

請求書、領収書、通帳の記録を残しておくことは、後日の相続人間の説明にもつながります。

ご家族の入院費や施設費の立替え、相続時の精算、成年後見制度の利用などでお困りの場合は、早めにご相談ください。

 

 

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