おはようございます。
目黒区目黒本町(学芸大学駅エリア)の女性司法書士・行政書士、増田朝子です。
相続・遺言・終活サポートを中心に、地域の皆さまの安心のための法務サービスを行っています。

隣地の枝が越境しているときの対応方法|いきなり切る前に考えたいこと

ご自宅や管理している不動産について、
「隣の木の枝がこちらの敷地に入ってきている」
「落ち葉や落枝が気になる」
「建物や塀に枝が当たりそうで心配」
というご相談を受けることがあります。

隣地の枝の越境は、とても身近な問題です。
一方で、お隣同士のことでもありますので、対応の仕方を間違えると、思わぬ近隣トラブルに発展してしまうこともあります。

今回は、隣地の枝が越境しているときに、いきなり切る前に考えておきたいこと、そして円満解決のための最初のお手紙の工夫についてお話しします。

隣地の枝の越境は、まず状況確認から

隣の土地に生えている木の枝が、自分の敷地内に伸びてくることがあります。

少し枝が入っているだけであれば、すぐに大きな問題にならないこともあります。
しかし、枝が伸び続けると、落ち葉が多くなる、雨どいに葉が詰まる、建物や塀に接触する、落枝のおそれがあるなど、管理上の支障が生じることがあります。

越境されている側としては、早く対応してほしいと思うのは自然なことです。
ただし、いきなり強い言葉で相手に伝えたり、すぐに枝を切ったりするのではなく、まずは落ち着いて状況を整理することが大切です。

現在の状態を写真に残し、いつ頃から、どのような支障が出ているのかをメモしておくと、後で説明しやすくなります。

一定の場合には自分で切れることもあります

以前は、隣地から枝が越境してきている場合でも、原則として、越境された側が勝手に枝を切ることはできませんでした。
枝については、その木の所有者に切ってもらう必要があるとされていたためです。

その後、民法改正により、一定の場合には、越境された土地の所有者が自ら枝を切り取ることができる場面が設けられました。

(竹木の枝の切除及び根の切取り)

第233条
  1. 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
  2. 前項の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる。
  3. 第1項の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる
    1. 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。
    2. 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
    3. 急迫の事情があるとき。
  4. 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。

たとえば、竹木の所有者に枝を切るようお願いしたにもかかわらず、相当の期間内に対応してもらえない場合や、所有者や所在が分からない場合、急迫の事情がある場合などです。

もっとも、法律上そのような制度があるからといって、すぐに「こちらで切ってしまおう」と考えるのは慎重であるべきです。

実際のご近所関係では、法律上できるかどうかだけでなく、これからの関係性にも配慮する必要があります。

まずは相手に穏やかに伝える

隣地の枝の問題では、最初の対応がとても重要です。

相手方は、枝が越境していること自体に気づいていないこともあります。
また、遠方に住んでいて、現地の状況を把握していない場合もあります。

そのため、最初から「迷惑です」「至急切ってください」と強く伝えるよりも、まずは、

「このような状況が見受けられます」
「一度現地をご確認いただけますでしょうか」
「必要な剪定をご検討いただけますと幸いです」

というように、状況確認とお願いの形で伝えることが、円満な解決につながりやすいと感じています。

隣地との問題は、法律上の問題であると同時に、これからも続いていくご近所関係の問題でもあります。

相手を責める文面ではなく、落ち着いた表現で伝えることが大切です。

最初のお手紙に入れたい内容

隣地の所有者にお手紙を出す場合には、感情的な表現を避け、事実とお願いを分けて書くとよいでしょう。

たとえば、まずは次のように、現在の状況を伝えます。

「貴殿所有地内の樹木の枝が、当方敷地内に伸びてきている状況が見受けられます」

そのうえで、落葉、落枝、建物や工作物への接触、雨どいへの影響など、困っている内容を具体的に書きます。

最後に、

「お手数をおかけして恐縮ですが、現地の状況をご確認いただき、当方敷地内に伸びている枝について、剪定をご検討いただけますと幸いです」

というように、現地確認と剪定のお願いをします。

期限を入れる場合も、強くなりすぎないように、
「お忙しいところ恐縮ですが、〇月〇日頃までに一度ご連絡いただけますと幸いです」
という程度にすると、相手も受け止めやすいと思います。

「回答書」を手紙に添えると、返事をもらいやすくなります

お手紙を送るときには、相手に「どう返事をすればよいか」が分かる形にしておくことも大切です。

先日ご相談を受けた案件でも、単に剪定をお願いするお手紙を送るだけではなく、回答書の形式も用意しました。

隣地の所有者としても、突然電話をかけるのは気が重い、何を話せばよいか分からない、ということがあるかもしれません。
そのような場合でも、回答書であれば、

「現地を確認します」
「剪定業者に相談します」
「〇月頃までに対応予定です」
「一度連絡を希望します」

といった形で、比較的返事をしやすくなります。

こちらとしても、相手の意向や対応予定が分かれば、次の対応を考えやすくなります。

ご近所間の問題では、相手を追い詰めることよりも、まず返事をもらい、話し合いの入口を作ることが大切です。

そのためには、相手が返答しやすい形をこちらで用意しておくことも、円満解決のための実務上の工夫だと思います。

なお、手紙と回答書を送るときには、切手付きの返信用封筒も忘れずに同封しましょう。

相手が返信しやすいように、ひと手間が重要です。

まとめ

隣地の枝が越境しているとき、困っている側としては、早く対応してほしいと思うものです。

ただ、隣地との問題は、法律上の権利だけでなく、これからも続くご近所関係にも配慮しながら進めることが大切です。

いきなり枝を切る、強い文面を送る、という対応の前に、まずは現地の状況を確認し、写真や記録を残し、相手に穏やかに伝える。
さらに、回答書などを添えて返事をしやすい形にしておく。

そのような一つひとつの工夫が、円満な解決につながることがあります。

お手紙の文面をどうしたらよいか分からない、相手にどのように伝えるべきか悩んでいる、という場合には、お気軽にご相談ください。

 

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