おはようございます。目黒区の司法書士増田朝子です。
久しぶりにクーラーをかけなくても済みそうな朝です。
作家の羽田圭介さんは、芥川賞作家であるにもかかわらず、
独特な雰囲気で芸人のようにバラエティー番組に出ていたものですから、
この人がどのような文章を書くのか気になっていました。
また、羽田さんのこの本が、若者と介護を内容として取り扱っているというのも気になる点でした。
最近やっと読めました。
『スクラップ・アンド・ビルド』(第153回芥川賞受賞作、著 羽田圭介)
多くの家族が直面している、介護がある日常を、そのままさらけ出した内容の本だと思いました。
介護される側も介護する側も、相手に対する思いやりがあるとしても、きれいごとでは済まない現実があります。
お互いが自分なりには精一杯頑張っているつもりでも、いつのまにか相手に対する毒になる。
そんな毒がたまっていき、世間では時に悲しい事件が起こったりするので、改めて介護問題は家族間だけの問題にすべきでないと思いました。
この本では無職の28歳の主人公の健斗(介護される老人の孫)の目で、介護する家族(祖父、母、健斗)の日常が描かれつつ、
健斗が祖父と自分を照らしあわせながら、老いや生について考えながら、自分を再構築していく姿が、悲壮感なく描かれています。
ところで芥川賞とは、純文学の新人に与えられる文学賞で、
純文学とは、大衆小説に対して「娯楽性」よりも「芸術性」に重きを置いている小説を総称しているようです。
内容的にはとてもよかったと思いますが、
正直、このような本が純文学なのかという感じでした。
難しいですね~。