目黒区の司法書士の増田朝子です。
司法書士という職業では、登記簿に記載されている情報、とくに所有者の氏名(漢字)
についてはかなり気をつかいます。
漢字は、アルファベットと比べて多様です。
司法書士になるまでは漢字にこんなにも豊かなバリエーションが
あるとは思っていませんでしたが、司法書士歴10数年の(時には痛い)経験で
だいぶ細かいことに気が付ける人間になれたような気がします。
とくに不動産登記の登記簿謄本の記載事項には本当に目を凝らしてじーっと
探るように眺めています。
なので、今回ご依頼人の物件の不動産の登記簿謄本を見たとき、
数回に分けて権利を取得されているご依頼人の登記簿上のお名前に
「巳」と「已」(一部がついているのとついていないの違い)の2種類の字が
あることにはすぐ気がつきました。が、なぜかその時は、
「これはそのままで登記できたような。。。」とスルーしてしまったのです。
色々な準備をして、いざ登記申請!にこぎつけたのですが、
ここでまたしても、登記簿の「巳」と「已」が目に入りまして、
そこは長年の経験で色々痛い目にあっていますので、
最後の最後にやっと調べてみたところ、、、
「巳」と「已」という漢字には同一性はまく、
名前の更正(訂正すること)登記が必要でした( ;∀;)
全く同じように見えるこの二つの文字って全く別の字なんです。
意味も全く違います。
「巳」(ミ)(シ)・・・方向(南南西)とか時刻(現在の午前10時頃)
「已」(イ)・・・やむ。やめる。
ちなみに、
「己」(オノレ)・・・その人、またはそのもの自身。自分。自分自身
3つとも全く関連のない別の字です。特に上2つはこんになに似ているのに。。。
登記の世界では氏名に使われた漢字に同一性が認められる場合は
そのまま同じ所有者として扱ってもらえます。
例えば、「真」と「眞」という漢字は同一性ありです。
ただ、漢字の数も膨大ですし、この同一性のルールも大変複雑で、
とても全てを覚えられません💦
面倒でも法務局に一回一回確認することが確実だと思います。
今回の「巳」と「已」についても調べたうえで法務局に確認したところ
やはり更正登記が必要とのことでした。
正しい漢字に訂正した後でないと、不動産の処分はできないことになります。
漢字の世界は奥深いです。。。