おはようございます。目黒区の司法書士・行政書士の増田朝子です。
先日、三井住友信託銀行本店で開催された「民事信託」実務家支援セミナーに参加してきました。
こちらは、所属している民事信託推進センター経由で募集があったもので、弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、行政書士といった士業限定のセミナーでした。
講義1として、「最近の「家族民事信託の動向と問題点」を検証する」とのテーマで、民事信託の第一人者である弁護士の遠藤英嗣先生の講演がありました。
遠藤先生は「新しい家族信託」などの書籍で有名です。
民事信託は、家族信託ともいわれています。
講義では遠藤先生は家族民事信託と表現されていました。
遠藤先生は、最近の民事信託の急増とともに、受託者よりで、受益者の利益を害するような問題ある組成の民事信託契約が多くみられるようになったため、もう一度民事信託とは何かという原点に返ってみることの大切さを述べられていました。
遠藤先生によると、民事信託の組成には以下の4つ要件が実務的に必要であって、これが組成者により確認確定されていないものは民事信託と呼べないとのことでした。
①信託をいかなる目的で設定するかという、信託設定の目的の明確性
②信託がいつまで継続するかという信託期間
③受益者に与えられる受益権の内容
④残余財産の帰属権利者
遠藤先生が強調されていたのは、民事信託とはあくまでも受益者のための制度であるということでした。
民事信託の話が持ち込まれるのは受託者側からも多いと思いますので、上記のことはしっかり胸に刻んでおく必要があります。
また、平成30年9月東京地裁判決についても解説をしていただきました。
このj事件では、収益性のない不動産(自宅等)が信託財産とされていて、外形上は遺留分割合に相当する割合の受益権が原告に与えられていました。
しかし判決では、収益性のない不動産を信託財産にすることがこれらの不動産に対する遺留分減殺を回避する目的であったようなとき、それが遺留分制度を潜脱する意図で信託制度を利用したものであれば、公序良俗に反して無効であると判断しました。
この事件はまだ係争中ですが、今後は信託を組成する場合により実質的に相続人の遺留分に配慮することが必要になりそうです。
講義2では、三井住友信託の担当者による「金融機関から見た民事信託の現状と民事信託サポートサービス」についての講演でした。
三井住友信託に持ち込まれている民事信託の案件の分析結果などのについて、興味深い数字の発表がありました。
こちらについてはまた後日お伝えします。
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