おはようございます。目黒区の司法書士・行政書士の増田朝子です。
先日、東京司法書士会千代田支部主催の、東京法務局の登記官を迎えた千代田支部セミナーに出席しました。
セミナーでは東京法務局からのお願いや補正事例、不動産登記および商業登記申請にかかる最新の論点について講義が行われました。
その中で不動産登記申請についての以下の事例について、話がありました。
千葉県野田市での幼児虐待事件が連日報道されていますが、痛ましい事件が増える背景で、このような登記のニーズも増えているようです。
質問事例:
・差押債務者は所有権の登記名義人である。
・所有権の登記名義人は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(「DV防止法」)第1条第2項に規定する被害者として、住民基本台帳事務処理要領第6の10の措置を受けている者(「被支援措置者」)であり、配偶者当からの暴力を避けるために住民票上の住所を秘匿する必要がある。
・この場合、差押登記の前提として、代位による所有権移転登記名義人の氏名又は住所の変更登記をせずに、差押登記の嘱託ができるか。
回答:可(名変はしなくてよい)
・この事例では嘱託登記でしたが、一般的な所有権移転登記申請の前提の名変などにも当てはまるとのことです。
・登記の添付書類としては、①支援措置を受けている市区町村役場の証明書および、②本人の上申書を添付する。
・名変の省略だけでなく、被支援措置者が所有権移転の登記権利者となる場合は、住所を前住所や前々住所を選択できる。
・DV防止法だけでなく、児童虐待防止法等でも同様に適用がある。
【参考】
住民基本台帳事務処理要領について (抜粋)
第6 その他
10 住民基本台帳の一部の写しの閲覧及び住民票の写し等の交付並びに戸籍の附票の写しの交付におけるドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者保護のための措置
市町村長は、ドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の加害者が、住民基本台帳の一部の写しの閲覧及び住民票の写し等の交付並びに戸籍の附票の写しの交付(以下「住民基本台帳の閲覧等」という。)の制度を不当利用してそれらの行為の被害者の住所を探索することを防止し、もって被害者の保護を図ることを目的として、法第11条第1項及び第2項、第11条の2第1項及び第2項、第12条第1項から第4項まで及び第6項、第12条の2第1項から第3項まで、第12条の3第1項から第6項まで並びに第20条第1項から第4項までの規定並びに同条第5項において準用する法第12条第2項から第4項まで及び第6項、第12条の2第2項及び第3項並びに第12条の3第4項から第6項までの規定に基づき、次の措置を講ずるものとする。
ア 申出の受付
(ア) 申出者
市町村長は、その備える住民基本台帳に記録又はその作成する戸籍の附票に記載されている者で、次に掲げる者から、コに掲げる支援措置の実施を求める旨の申出を受け付ける。
A 配偶者暴力防止法第1条第2項に規定する被害者であり、かつ、暴力によりその生命又は身体に危害を受けるおそれがあもの
B ストーカー規制法第7条に規定するストーカー行為等の被害者であり、かつ、更に反復してつきまとい等をされるおそれがあるもの
C 児童虐待防止法第2条に規定する児童虐待を受けた児童である被害者であり、かつ、再び児童虐待を受けるおそれがあるもの又は監護等を受けることに支障が生じるおそれがあるもの
D その他AからCまでに掲げるものに準ずるもの
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