おはようございます。目黒区の司法書士増田朝子です。
築20年未満の木造住宅や築25年未満のマンションを購入し居住する場合、住宅用家屋証明書を取得できると、
所有権移転登記や保存登記、抵当権設定登記の際、登録免許税の減税を受けることができますが、
この期間を超えていても、平成17年度の法改正により
耐震基準適合証明書を取得することで住宅用家屋証明書を発行してもらえるようになりました。
制度開始当時は区役所税務課に耐震適合証明書を利用した住宅用家屋証明書取得について問い合わせてもなかな通じませんでしたが、
最近は大分浸透して普通に通じます。また、ご依頼人の購入物件が上記の通常期間を超えていても、
耐震基準適合証明書の取得により減税を受けられることもありますので、当方としても念のため制度の説明をした上で
ご取得についてご検討をしていただいています。
既に耐震基準を満たした物件については(つまり改修工事不要)割と簡単に証明書は取得可能なようです。
耐震基準適合証明書を発行したことがあるマンション等については、ネットでも結構公開されています。
買主には「売主名義」の「引渡前(決済)」の耐震基準適合証明書の取得していただきます。
建築事務所等に依頼し、発効手数料5万円程度かかるようです。
登記については、この売主名義の耐震基準適合証明書を添付して住宅用家屋証明書を取得できると、
買主の所有権移転登記や抵当権設定登記の登録免許税の減税を受けることができます。
なお、住宅用家屋証明書の取得にあたりもう一つ考えなければならないのが、買主の住所が旧住所と新住所のどちらになるかです。
実際の引渡し決済前にもかかわらず、実務上買主が新住所に住民票を移動していることも多い理由は、
銀行の都合や諸々の手続(のちの不動産登記簿の変更が不要になる等)の理由です。
また、住宅用家屋証明書も、原則新住所に移った住民票を添付して申請することになっていますので
新住所に住民票があると手続きがスムーズです。新住所に住民票がない場合は申立書を添付しますが、
この場合でも1~2週間以内に住民票を移すのが原則で、2週間を超える場合は理由によっては疎明資料を付ける必要があり、
また、どの自治体でも2週間を超える入居に基づく申立が認められるとは限りませんので個別に確認する必要があります。
ところで、この耐震基準適合証明書を取得するメリットは登録免許税の減税以上に、
一番大きいのは住宅ローン減税の適用を受けられることにありますが、住民票の移動時期については注意が必要です。
耐震基準適合証明書を利用して住宅ローン減税を受ける場合、証明書の発行に先立ち住民票を新住所に移転をしてしまうと、
住民票の移動日をもって住宅の引渡を受けたことになり、適用要件である「引渡前」の耐震基準適合証明書の取得ではないことになるようです。